12月16日(土)の女子準決勝は話題の尽きない戦いとなりました。
スペインのダニエラ・テロルは準決勝で最も安定した滑りを見せ、2本のフルランと4本のベストトリックを決めて12位となり、決勝には進めなかったものの、今後ここから成長するために必要なものを得ることができた大会となりました。
印象的な滑りを見せていたものの惜しくも決勝進出とはならなかったのは伊藤美優。彼女はハバセクションでの「フロントサイド・ブランドスライド」と9段ステアレールでの「キックフリップ・フロントサイドボードスライド」をベストトリックで決めましたが、フルコンプリートには至りませんでした。
ペイジ・ハインは、ラン1本目の4トリック目「フロントサイドフィーブルグラインド」で転倒、負傷し棄権となりました。関係者一同、彼女の一日も早い回復を祈っており、次回のドバイ大会での復帰を期待しています。
明日の決勝に進出する8人のうち5人は、女子スケートボード界を急速に席巻しつつある日本人選手たちです。今日の試合で目立ったのは、ワールドスケートボードの各コンテストを重ねるごとに、そのレベルが上がっていることです。
中国のヤングスターであるチェンシー・ツイは、3度目のベストトリックで「キックフリップ・バックサイド50-50グラインド」を決めこの日の最高得点を残しましたが、日本人選手たちを巻き返すことはできませんでした。
東京オリンピック金メダリストの西谷椛は、予選の序盤では信じられないほどのキレを見せていたにもかかわらず、前回のローザンヌ大会での決勝と同様、ベストトリック5本中3本を失敗するという苦戦を強いられました。彼女は明日の決勝でさらに上を目指してくることでしょう。
最近、世界一のスケートチームと言われるFlip Skateboards(フリップ・スケートボード)へ加入したばかりの赤間凛音は、2本目のランの得点を後押しする「バーリーグラインド」「ハリケーングラインド」、そして「フロントサイド・フィーブルグラインド・フロントサイド180アウト」をベストトリックにて3本連続で成功させて、日本人選手のランキングの中でも上々の滑り出しを見せました。
東京オリンピック銅メダリストの中山楓奈は、得意の「フロントサイド・クルックドグラインド」と「バックサイド・オーバークルックド・グラインド」をベストトリックにて2本連続でメイクして、ランのスコアを押し上げて決勝進出。
しかし、女子準決勝で日本人選手内トップ通過を果たしたのは織田夢海でした。織田は2本目も同じく1本目と同ルーティンを違うコース取りで決め、ベストトリックで1本目に「キックフリップ・フロントサイド・ボードスライド」を決め、その後「バックサイド・テールスライド」を決めて2位となりました。
準決勝で日本人選手たちを思うようにさせなかったのは、女子スケートボード・ストリートの女王とも称されるライッサ・レアウでした。彼女は1本目のランを失敗したものの「バックサイド・テールスライド」「フロントサイド・ブラントスライド」、そして「キックフリップ・フロントサイド・ボードスライド」とベストトリックを連発し、余裕の4位で決勝進出を果たしました。
そしてオーストラリアのクロエ・コベルは80点以上のランを2本決め、さらに「フロントサイド50-50グラインド・キックフリップ」という革新的な技を決め、ラストトリックでは完璧な「ヒールフリップ」をメイクして、今日の準決勝に続き、決勝でもポールポジションを獲得しました。
女子決勝は8人のファイナリストの誰もが優勝する可能性のあり、見逃せない戦いとなることでしょう。
男子の準決勝は、たくさんの手作りの看板が掲げられ、ヒーローにサインや写真をお願いする熱狂的な子供たちが群がり熱気に包まれる中、ワールドスケートボードツアー史上において超絶で壮絶なベストトリック争いが行われました。90点以上のベストトリックが17回もあったものの、そのうち7回は決勝へ進出できなかった選手がメイクしたもので、これほどの死闘は記憶にありません。
準決勝の16人の選手の中から決勝進出者となった選手の半数、つまり8人中の4人が今大会開催国である日本人選手でした。堀米雄斗は、ランの点数こそ低かったものの、2つの90点超えのベストトリック「フロントサイド・ノーリー・フェイキー・ノーズグラインド・フロントサイド180アウト」「ノーリー270ノーズスライド」を決めてギリギリ8位で決勝進出を決めました。
コルダノ・ラッセルはオリジナルのボードに乗って強さを見せました。彼は90点台の「フロントサイド・ハーフキャブ・キックフリップ」「フェイキー・ヒールフリップ・バックサイド・リップスライド」と「フェイキー・フロントサイド・ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライド」の3本をメイクし、観客を湧かせました。
6位通過の根附海龍は信じられないほどの安定感で、長い9段のステアにて完璧な「バックサイド・ヒールフリップ」や「バックサイド・オーリー・レイトビッグスピン」を含むベストトリック5本中4本を軽々と決めました。
5位につけたのは素晴らしい才能を持ちながらも気まぐれなアレックス・ミドラー。彼は今大会で自身のベストスコアを生み出した最高レベルの「ノーズブラント・ヴァリエーション」をベストトリックで2つを成功させ、初の決勝進出を決めました。
4位には、同じくワールドスケートボードツアーにて初の決勝進出を決めた生粋のストリートライダーのブレイデン・ホーバン。彼とアレックス・ミドラーは、観客たちを興奮の渦に巻き込みました。
準決勝進出者のトップ3は、クリエイティビティの最先端をいく才能豊かな白井空良、天才的な小野寺吟雲、そしてテクニックの達人ナイジャ・ヒューストンが最高位に入りました。
◎女子ストリート準決勝 結果
1. クロエ・コベル(オーストラリア)259.56
2. 織田夢海(日本)249.00
3. 中山楓奈(日本)242.96
4. ライッサ・レアウ(ブラジル)241.82
5. 赤間凛音(日本)240.57
6. 西矢椛(日本)238.04
7. 吉沢恋(日本)229.84
8. チェンシー・ツイ(中国)226.20
◎男子ストリート準決勝 結果
1. ナイジャ・ヒューストン(アメリカ)266.90
2. 小野寺吟雲(日本)263.94
3. 白井空良(日本)263.31
4. ブレイデン・ホーバン(アメリカ)258.97
5. アレックス・ミドラー(アメリカ)258.35
6. 根附海龍(日本)257.13
7. コルダノ・ラッセル(カナダ)251.97
8. 堀米雄斗(日本)250.83